身の丈

現在の保育従事者数は37.8万人(2013年)、未来において不足する保育士数は6.9万人。
あくまで実感値ですが、新たに保育所を作らなければ充足感は感じると思います。
これはどの業種にも言えることですが、発展するとどうしても足りなくなります。
これまで新規出店を計画していない事業では人は足りており、出店を計画している事業では足りていませんでした。
理由は出店しなければ一人当たりの教育が充実するからです。
教育が充実するとスキルや知識が一定ラインに達し、「できなかったこと」が「できる」ようになります。
しかし、発展しなければ、それはそれで多くの損失が生まれます。
次は、「できること」が「もっとできる」ようにはなりにくい環境になります。
つまり、教育を受ける立場はあっても、教育をする立場が不足します。
後継者の育成という教育のゴールを知らずに働くことになり、これは大きな損失となります。
法人規模にも保育所の規模にもよりますが、たくさんの待機児童を解消するために、たくさんの保育所を作るのは、それは大変です。
保育所に合う土地と物件は滅多に開発できませんし、開発できてとしても工事費は年々高くなります。
採用費も毎年のように上昇していますし、教育体制の構築も簡単ではありません。
これらのうち一つでも大変ですが、全部が合わさると当然大変です。
こんなに頑張って作っても社会福祉法人会計というネックもあります。
では、こんなに大変なら何もしない方が良いのではないかと自問すると、それは違うという返答がきます。
自分のことだけを考えると何もしない方が安全に感じますし、新たな苦労もありませんが、ふと周りを見てみると、やっぱり困っている人は大勢いる。
作るたびに、当然、その声も多く聞こえるようになります。
だから、きちんと保育所を作ることができる法人は、作るべきかと思います。
しかし、話は元に戻りますが、新たに作るのであれば、この6.9万人という不足数を何とかしなければなりません。
やはり、待遇の引き上げが直結すると思いますが、それでもすぐには効果は出ないとため、1日も早く実施した方が良いです。
しかも、資格を持ちながらも、現在、他の業界に従事している保育士に復帰してもらうためには、経験年数ではなく実年齢に沿った採用活動を可能とする制度にならなくては、保育士は期待通りには増えないと予想できます。
財源を確保して、勤務期間に応じて給与が上昇するようになったとすると、新卒者は増えると思いますが、40歳の人を保育士経験がないから新卒と同じ待遇にして、勤務が長くなれば待遇も上昇していくと言っても即効性があるかは分かりません。
よって、もし待機児童を計画通りに解消していくのであれば、経験年数ではなく、実年齢に沿った採用活動ができるように制度設計を図った方が良いと感じます。
良い保育をするには良い保育士が必要です。
良い保育士は1日では完成しません。
よって、次に起こる問題は評価制度ですが、これも簡単ではなく、最終的には、待遇と同じく小学校と同じような仕組みになっていくのではないかと感じています。
小学校は6年間ありますが、保育所もこども園も6年間あります。
待遇の引き上げ、適正配分、ICTを活用した生産性の向上など、様々な工夫を凝らさないと解消できない問題ですが、解消する日まで、身の丈に合わせて地道に作っていこうと思います。

百合ヶ丘外観